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健康コラム

知っておきたい!虫刺され(虫刺症)の基本知識

夏はキャンプや草むしりなど外での活動が増える季節です。そこで気になるのが虫刺されの予防と対処法です。かゆみや痛み、腫れなどの症状は最悪のケースでは死に至る場合もあります。どんな種類の虫に注意すべきなのか、最低限知っておきたい虫刺されの基本知識を紹介します。

 

刺された虫の種類で症状はさまざま

かゆみが出る虫

・蚊
アウトドアに出かけずとも、いつでもどこでも遭遇してしまう蚊。刺された時に唾液が注入されることでアレルギー性の皮膚炎が引き起こされます。刺されてすぐかゆみ・赤み・腫れが出る場合と、1~2日後に出る場合があります。
また、症状の程度は軽いものもあれば、何日も腫れが引かずしばらく痕が残ってしまうこともあります。特に体温が高い赤ちゃんは蚊に刺されやすい傾向にあり注意が必要です。

・ノミ(ネコノミ)
人間のひざから下の部分にかゆみや発疹があるときは、ネコノミのアレルギーの可能性があります。イヌ・ネコどちらにも寄生し、畳やカーペット、公園などにも潜んでいます。現在はネコノミが中心で、ネコはもちろん、イヌやヒトも吸血します。ダニと違い足を刺す場合がほとんどで、何か所も刺すことがあります。かゆみは蚊を上回り、赤く腫れ水ぶくれができることもあります。

・イエダニ
イエダニはダニの中では珍しく、肉眼で見ることができる、0.5ミリから1.0ミリの大きさです。室内で夜にヒトを刺して血を吸います。上半身や太もものような柔らかめの皮膚を刺すのが特徴です。刺されると強いかゆみがあり、赤みを伴うブツブツが現れます。症状は長くて10日ほど続きます。

・シラミ
アタマジラミは主に子どもの頭に寄生します。後頭部や耳の後ろに強いかゆみが出ます。掻いてしまうと湿疹やとびひとなります。また、髪の毛にシラミの卵がみられます。ケジラミは性感染症のひとつで、陰毛同士が直接触れることで感染します。感染から約1ヵ月で陰毛部分に強いかゆみが出ます。

痛みが出る虫

・ハチ
被害が多いのは、住宅の近くではアシナガバチ、自然の中ではスズメバチです。症状には個人差がありますが、初めて刺された場合、痛みや腫れは1~2時間でおさまります。注意が必要なのは2回目以降で、アナフィラキシーショックという急性のショック症状が起こる場合があります。全身のじんましんや、嘔吐、呼吸困難を引き起こし、ひどい場合は意識不明、最悪の場合は命を落とすこともあるのです。

・アリ
家屋で見かけるアリの多くはイエヒメアリですが、山に出かけた際、注意したいのは体長が3.5ミリから7.0ミリもあるヤマアリです。咬まれたりお尻の針で刺されることがあります。ヤマアリの蟻酸が皮膚に触れると強い痛みがあり、炎症を起こします。

・ムカデ
ムカデの鋭い顎で咬まれると激しい痛みがあります。しびれや患部に熱をもって赤い腫れもあります。ひどい場合は、ただれることもあるほど、強い毒性をもっているので、すぐに処置が必要です。ハチと同じく、咬まれるのが2回目の場合はアナフィラキシーショックの危険があります。

痛みとかゆみが出る虫

・マダニ
家庭内にいるダニとは種類が違い、山や草むらや藪に多く生息ます。皮膚から血を吸い、痛みや赤い腫れ、かゆみが生じます。中にはSFTSウィルスを持っているマダニに刺されると、発熱と消化器症状があらわれる重症熱性血小板減少症候群(SFTS)を引き起こす場合もあり、重症化すると命を落とす危険があります。

・アブ
アブは川などの水場に生息し、夏に活発になるので、夏の山では注意が必要です。馬や牛だけでなく人間の血も吸います。刺すのではなく、皮膚を切り裂いて出てくる血を吸うのが特徴です。裂かれた痛みとかゆみがあり、患部が腫れ上がります。症状は長ければ2週間以上も続く場合があります。

・ブユ(ブヨ・ブト) 
メスが皮膚を噛みちぎって、流れ出る血を吸います。蚊よりも強い痛みを感じ、時間が経つと内出血や腫れ、強いかゆみが起こり、人によって発熱する場合もあります。冬以外ならいつでも活動していますが、特に春先から夏にかけて噛まれることが多くなります。山や川などに多く出没するので注意が必要です。

 

刺されたと気づいたときの応急処置

かゆみが出る虫

・蚊
すぐに感じるかゆみには抗ヒスタミン薬を含む外用薬を、時間が経過してから起こるかゆみにはステロイド成分配合の外用薬を塗ります。

・ノミ(ネコノミ)
刺された部分を氷や水で冷やします。これでかゆみを和らげることができます。

・イエダニ
なるべく掻かずに、抗ヒスタミン薬・ステロイド成分配合の薬を塗ります。

・シラミ
アタマジラミは、目の細かいクシで髪をとかし、髪の毛から卵を取り除きます。他の人(とくに子ども)と頭を密着させないよう注意します。薬用シャンプーで頭をきちんと洗います。
ケジラミは、感染した場所の毛を剃ります。広い範囲で感染している場合は市販のシラミ治療薬(スミスリンパウダーとスミスリンシャンプー)を使用します。

痛みが出る虫

・ハチ
まずは刺された部分を確認し、針が残っている場合はピンセットなどで取り除きます。その後水で洗い流しながら毒を絞り出します。口で吸い出すことは危険です。処置が済んだら抗ヒスタミン系成分を含むステロイド系軟膏の薬を塗り、濡れたタオル等で、傷口を冷やして安静にします。応急処置の後は速やかに皮膚科を受診しましょう。

・アリ
咬まれた・刺された場所を水で洗い、抗ヒスタミン薬配合の外用薬でケアします。

・ムカデ
ムカデの毒を不活性化させるため、43度以上のお湯で5分以上洗い流します。火傷に注意が必要ですが、43~46度のお湯が最適とされています。その後ステロイド系の外用薬を使用します。

痛みとかゆみが出る虫

・マダニ
マダニが血を吸っている時に無理に引っ張ると、鋭い歯が皮膚に残ることがあります。自分で対処することは危険です。皮膚科で除去・洗浄してもらうことが大切です。

・アブ
患部をすぐに洗って水や氷で冷やします。抗ヒスタミン薬やステロイド成分を配合した外用薬を塗ります。

・ブユ(ブヨ・ブト)
患部をすぐに洗って水や氷で冷やします。抗ヒスタミン薬やステロイド成分を配合した外用薬を塗ります。

 

待ったなし!今すぐ受診すべき症状と虫

受診すべき症状:
虫刺されの直後に、発疹、吐き気、発熱、呼吸困難、めまい、意識障害などの全身症状が出た場合は大至急救急車を呼ぶなどし、医療機関を受診します。また、かゆみや腫れ、痛みが強くなかなか治まらなかったり、発熱など、患部以外の症状がある場合も受診します。

受診すべき虫:
ハチ(スズメバチなど)やムカデに刺されアナフィラキシーショックを起こした場合はすぐに救急車を呼びます。また、マダニに咬まれた場合は、病院で取り除いてもらいます。

 

虫除け対策のグッズ

肌の露出が少ない服装が望ましいですが、暑い夏の日常生活などでは難しいでしょう。虫除けグッズをうまく取り入れることで対策できます。

・虫除けスプレー
最近では、肌に塗るのに抵抗がある人向けに衣服にスプレーするタイプが登場しています。スプレーにムラができると虫除け効果がきちんと発揮されないこともあるので、吹き付ける際に注意が必要です。

・虫除けジェル
肌に直接塗るため細部にまで行き渡らせることができます。反面、汗をかくと流れやすいので、こまめに塗り直しが必要です。

・虫除けシール
肌の弱い子どもや赤ちゃんにも使用できると、ママ世代から人気です。服やベヒーカーなどに貼って手軽に使えます。肌に直接触れないよう注意が必要です。