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健康コラム

プールに注意!感染症に備えましょう

夏になると暑さで体力が落ち、体調を崩す人が増えてきます。食欲もなくなり、食事のバランスが崩れるこの時期に注意したいのが感染症です。感染症の原因は様々ですが、5月から8月に流行するウイルス性感染症はだれもがかかる可能性があります。
夏に流行する感染症は、手足口病、リンゴ病、ヘルパンギーナ、風疹など多岐に渡ります。その中でも特にプールで感染しやすい、プール熱、流行性結膜炎、水イボにポイントを絞って、その原因や症状、予防法、治療法について詳しく紹介します。夏には、子どもがプールに行く機会が増えるので、対策として活用して下さい。

 

プール熱

プール熱は、発熱、咽頭炎、結膜炎の3つが主な症状のアデノウイルスによる感染症です。
正式名称は「咽頭結膜炎(いんとうけつまくえん)」で、6月頃から10月頃までに多く流行します。

・原因、感染経路
プール熱は、「アデノウイルス」というウイルスによる感染症で、潜伏期間は5~7日間です。プールでの感染が多くプール熱と言われていますが、水からだけでなく、咳やくしゃみなどによる飛沫、手指や家庭の生活用品などの接触、空気などからも感染します。

・症状
主な症状は高熱で、40℃近い熱が4日から6日ほど続きます。また涙や目やに、充血が伴う結膜炎やのどの痛み、吐き気、頭痛、腹痛、下痢などの症状が出ることもあります。

・予防法
手洗いやうがいでウイルスをしっかりと洗い流すことが大切です。プールの後はシャワーを浴び、特に目は丁寧に洗いましょう。また、接触感染を避けるため、家庭のタオルや洗面器は共有せず、子どもが遊ぶおもちゃなど共用するものは消毒用エタノールや次亜塩素酸ナトリウムで消毒するとよいでしょう。

・治療法
プール熱に効く薬はありません。病院では高熱やのどの痛みを抑える薬が処方され、自然に治るのを待ちます。家庭では十分な水分補給、食欲不振でも食べられる食事、十分な睡眠を心がけましょう。

 

流行性結膜炎

アデノウイルスによる感染症のひとつで、ウイルス性結膜炎の代表的なものです。特に夏の暑い時期に流行します。ウイルス自体は年中活動するため、夏以外でも感染の可能性があります。

・原因、感染経路
「はやり目」とも呼ばれ、プール熱同様、アデノウイルスが引き起こす感染症です。感染力が非常に強く、流行性があります。潜伏期間は、8~14日間ほど。主な経路は、手指やタオルなどの物品を介した接触感染です。

・症状
白目の充血や目やに、涙、目の異物感、まぶたの腫れなどが起こります。高熱やのどの痛みはなく、通常では2~3週間で症状は治まりますが、炎症が角膜まで達すると、濁りが生じて視界が悪くなることがあります。

・予防法
原因となるアデノウイルスは感染力が強いため、手洗いうがいを徹底する必要があります。
またタオルなどの共用を避け、身の回りのものを消毒することも有効です。
アデノウイルスは消毒剤に対する抵抗力が強いので、次亜鉛塩素ナトリウムや消毒用のエタノールを用いるとよいでしょう。
二次感染を防ぐため、目やにや涙のふき取りの際は、直接目に触れないよう注意しましょう。

・治療法
医療機関では、主に点眼薬が処方されます。点眼薬は、傷ついた角膜からの二次感染を防ぐ抗菌目薬と、炎症を抑える弱いステロイド目薬の2種類に分かれます。炎症が角膜まで達した場合は、治療に数ヵ月~1年を要すこともあります。

 

水イボ

水イボは比較的子どもがかかりやすい感染症で、体のいたるところにできます。
湿疹の中に水が入っているように見える水イボは、プールなどで感染することが多いので注意が必要です。


・原因、感染経路
水イボは、正式には伝染性軟属腫といい、ポックスウイルスが原因です。主な感染経路は、皮膚と皮膚との接触で、水イボに触れることで感染します。「プールの水」を介しての感染はありませんが、他人の皮膚が触れやすいプール内での感染は多くあります。ビート板などの使用用具にウイルスが付着していることもあるので注意が必要です。潜伏期間は非常に長く14~50日(2~7週間)、場合によっては6ヵ月にも及びます。

・症状
皮膚に少し赤みのある小さなブツブツが出て、この中にウイルスを含む液体が入っています。表面上は光沢があり、中は透明で柔らかく、掻いてしまうと周囲に症状が拡がります。

・予防法
特効薬はありません。肌の乾燥を防ぎ、肌のバリア機能が低下しないように、しっかりと保湿することが大切です。プールの塩素は皮膚を乾燥させるので、プールで遊んだ後は、保湿するように心がけるとよいでしょう。家族が感染した場合は、タオルや入浴を別にして、肌が触れ合わないよう注意しましょう。

・治療法
数ヵ月で自然に治癒します。症状が1年以上の長期に渡って続いても、いずれは治癒するものですが、アトピー性皮膚炎などの他の皮膚疾患と併発して、重症化するケースもあります。皮膚疾患でよく利用されるステロイドは、水イボに使用すると、かえって悪化する可能性があるので注意が必要です。
医療機関では個人の状況に合わせて、硝酸銀で除去する、液体窒素で除去する、ピンセットで取り除くなどの治療を行う場合もあります。


感染症の予防には、基本的な手洗いやうがい、身の回りの消毒が大切です。また、栄養バランスの良い食事や十分な睡眠をとることで、免疫力を高めることができます。もし感染してしまったとしても、周囲に感染が拡がらないように日常のケアをしっかりとしましょう。感染症に関する自己判断は急激な悪化につながることもあります。症状があった際は、医療機関を受診して、医師の指示を受けましょう。