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健康コラム

食べ過ぎ注意!腹八分目の健康原理を徹底分析

日本では昔から「腹八分目が健康長寿の秘訣」と言われてきました。しかし目の前に美味しそうな料理がたくさんあると、ついついお腹いっぱい食べ過ぎてしまって後悔……という経験は誰にでもあるものです。

どうして腹八分目が健康に良いのか?実はその謎に迫った研究があります。その研究結果についてきちんと理解した上で、毎日の食事を楽しく美味しく摂りながら健康に過ごしましょう。

 

腹八分目が良いとされてきた研究結果

最近では生活習慣病予防の話題になると、お医者さんから「腹八分目を心がけましょう」というアドバイスを受けます。実際に、どのような研究から「腹八分目が健康に良い」とされてきたのでしょうか。

宇宙空間に関する実験が、「腹八分目」を肯定する結果に

もしも人間が「腹八分目」を心がけて、通常の摂取カロリーの約80%の量で生活すると、どんな結果が得られるのでしょうか?

ここで行われた実験は「人間が腹八分目の食事を続けると、どうなるのか?」というテーマではなく、「宇宙空間で生き抜くための実験」として行われたものです。その実験に参加した人たちは食事量を25%減らされた状態で生活をしていたので、結果として「腹八分目」の毎日だったのです。
実験中、1日の摂取カロリーを約1800キロカロリーとしたところ、実験に参加した8人は全員体重が減り、血糖値、コレステロール値、血圧などの数値も低下しました。

この実験結果から、「腹八分目」の食生活を送ると長生きできることだけでなく、健康でいられる期間(健康寿命)をも伸ばすことができる可能性があることが示されたのです。

 

「腹八分目」に異議を唱える研究者も……

順天堂大学医学部特任教授(医学博士)の奥村康氏は「食べたいものを食べたいだけ食べた方が長生きする」と主張しています。
その理由とは、食べたいものを制限することでストレスがかかり、体内で「おまわりさん」のような役割を担うNK細胞の活性化が妨げられ、免疫力が低下してしまうからです。奥村氏は、食べたいものを我慢せず食べることで健康の要であるNK細胞が活性化されて免疫力が上がり、何かの病気に感染したとしても発症をおさえることもできると言います。

ただ、脂肪と砂糖は体の「必要か不必要か」という本能とは関係なしに、脳が「美味しい」という快楽だけを求めて食べたくなってしまう食べ物なので、注意が必要です。つまりこのふたつだけは、「食べたいだけ食べる」と確実に太ってしまうのです。

 

サルにとっても「腹八分目」は健康的?

実は、より人間に近い動物として、アカゲザルによるカロリー制限食の実験が米国ウイスコンシン大学のリチャード・ワインドラック教授によって行われています。カロリー制限をしたグループにはカロリーを70%に減らした食事を20年間与え、観察しました。

2009年に発表された中間報告では、カロリー制限をしなかったグループはがんや心臓病、糖尿病などの加齢性疾患での死亡率が、カロリー制限をしたグループに比べ20%以上も高いことが分りました。また、脳のMRIを撮って比較すると、カロリー制限をしていたグループのアカゲザルは脳の加齢性による変化が見つからなかったそうです。
サルにとっても、腹八分目は「健康的」なのかもしれません。

 

「腹八分目は医者いらず」と古くから日本で言い伝えられている言葉は、最近の実験結果からも証明されています。しかし実際は「必要な栄養素をしっかり摂ったうえでの、腹八分目」であることが大切なのです。今体が必要としていない栄養素ばかりの食べ物をお腹の八分目まで入れても意味がないですよね。
健康で長生きするためには、食べ過ぎもいけませんが、食事内容もきちんと考えていかなくてはならないでしょう。