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健康コラム

自律神経とお腹の関係が引き起こすIBS(過敏性腸症候群)

人は緊張すると体に異変が起きる?

試験や面接、あるいは大切な商談や会議に臨むようなときは、誰だって緊張するものです。「平常心でいこう」「いつもどおりにやろう」などと気持ちを落ち着かせようとしても、なぜかそんな大事なときに限ってお腹が痛くなったり、トイレに行きたくなったりしてしまう……。

人は、緊張すれば心臓がドキドキして呼吸が荒くなり、汗をかいたりします。人の精神状態は、身体に生理的な影響をいろいろ与えるもの。程度の差はあっても、多くの人がこんな経験をしているのではないでしょうか。

ただし、大切なコトの前にひどい腹痛に見舞われて下痢が止まらなくなる……といった状況が恒常的に起きているとすれば、「気が弱い」とか「もともと胃腸が弱いから」などという言葉で片付けられるレベルではなく、何らかの病気が潜んでいる可能性もあります。特に疑われるのは、IBSと呼ばれる疾患です。

 

IBSって何だろう?

緊張やストレスがお腹に影響を及ぼす

IBSは過敏性腸症候群といい、緊張やストレスによって慢性的に腹痛や下痢などを引き起こす疾患です。

人は、怒っている状態を「腹が立つ」などと言いますが、心のありようは、そのまま「腹(胃腸)」の状態に直結しているものです。それは自律神経の働きによるもので、人によっては不安や怒りなどのストレスが続くとそれに胃腸が反応し、腹痛や下痢などの症状が現れてくることがあります。IBSは、特にそれが過敏に出てくる疾患といえるでしょう。

下痢ばかりではないIBS

IBSには便秘になる、下痢と便秘が混合する、あるいはいずれにも当てはまらないタイプなどがあります。ともあれ、ちょっとしたストレスで胃腸が過剰に反応してしまう人は、やはり早めに病院で検査を受けたほうがよいでしょう。もしかしたら、その胃腸の反応の影に癌などの大きな病気が隠れているかも知れません。

内視鏡や血液検査をしても特に異常が見当たらず、それでも大事なときに胃が痛くなったり下痢したり、というようなことが頻発するのであれば、これはIBSが疑われます。

日本では、7人に1人くらいの割合でIBSが疑われ、特に30歳以下の若い世代に多いといわれます。また、IBSの症状が重くなると、通勤や通学途中でひどい腹痛や下痢を起こし、会社や学校に行けなくなってしまうようなこともあります。

 

IBSかを判断するには?

IBSかどうかは医師が判断することです。ただ、医師が正しい判断をするための情報を提供するのは皆さんです。そのためにも、「いつ」「どんなときに」「どのような状況になるのか」を整理して伝えるようにしましょう。次のような内容を参考にしてください。

 ①月に何回くらいお腹の痛みや不調があるのか
 ②どんなときにその状況となるのか
 ③下痢なのか、便秘なのか、また便の状態は
 ④どんなタイミングで症状がなくなるのか、など

 

IBSを防ぐ改善方法って?

IBSが疑われた場合、状況を改善するにはまず、精神状態を安定させてストレスを取り除くことがポイントとなります。睡眠を十分に取って体を休め、軽い運動などでストレスを解消して気持ちを安定させることが大切です。

また、刺激性の高い食事内容(香辛料や脂っこいもの)を避け、アルコールなども控えめにするほうがよいでしょう。

こうした運動療法や食事療法でも効果が見られない場合は、医師の処方による薬物療法となります。現在は、状況に応じて効果の高い医薬品がいろいろ揃っています。IBSは十分に治療可能な疾患ですので、一人で悩まず早めに医師に相談してみてください。