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健康コラム

冬に気をつけたい一酸化炭素中毒 換気をして一酸化炭素中毒を防ごう

冬になると、ストーブなどの暖房器具を使う機会がぐっと増えます。卓上コンロを使って鍋を囲む機会も多くなりますね。そんなときに注意したいのが、一酸化炭素中毒です。一酸化炭素は無味無臭なため、たとえ室内の一酸化炭素濃度が高くなっていても気づきにくく、自覚しないまま中毒になってしまう場合があることから、「サイレントキラー」と呼ばれることもあります。最悪の場合は命の危険をもたらすこともある一酸化炭素中毒ですが、正しい知識さえあれば、未然に防ぐことができます。今回は、一酸化炭素中毒の原因や予防方法について見ていきたいと思います。

 

一酸化炭素中毒の症状とは?

一酸化炭素とは、酸素が不足している空間で炭素を含んだ物質が不完全燃焼を起こしたときに発生する気体です。一酸化炭素は酸素と比べて200倍以上も血液中のヘモグロビンと結びつきやすい性質があります。酸素より先にヘモグロビンと結びついてしまうため、一酸化炭素の量が多くなると身体中に運搬できる酸素の量が減り、酸欠状態を引き起こす危険性があります。これが一酸化炭素中毒です。一酸化炭素中毒の進行は緩やかで、初期段階では頭がフラフラする、顔がほてる程度ですが、症状が進むにつれ頭痛やめまい、けいれんや手足のしびれ、強い吐き気などが起こります。さらに進むと突然に意識をなくしてしまい、最悪の場合は命を落とすこともあるので注意が必要です。

また、一酸化炭素中毒は、空気中の濃度が10%未満であれば特に心配はいりませんが、10%~20%になると軽度の頭痛がしはじめ、50%を超える場合(火災、車中泊での換気不足等)は重篤な症状を残すこともあります。

 

冬の暖房器具の使用中は一酸化炭素中毒に気をつけよう

一酸化炭素中毒の原因はいくつかありますが、その中でも特に注意したいのが冬の暖房器具です。石油ストーブなどの暖房機器は、灯油を燃料としているため酸素の供給量が不十分であると一酸化炭素が発生します。最近の建築構造は気密性に優れていることが多く、窓やドアを閉めきると室内の空気の循環が滞ってしまう為、一酸化炭素が溜まりやすく、さらには発生しやすくなってしまうのです。
暖房器具をつけているときは、こまめな換気を心がけ、気分が悪くなった場合は一酸化炭素中毒を疑い、すぐに窓を開けるなどすることが大切です。
また、暖房機器の空気の取り入れ口や燃焼部分がほこり等で目詰まりしていると不完全燃焼を起こしやすくなるので、定期的な点検と清掃をお忘れなく。

 

車中泊でのアイドリングに要注意!

車のアイドリングも条件が重なると、一酸化炭素中毒の原因になることがあります。車中で仮眠をするときに起こりやすいのが、エンジンをかけたまま眠りについたところ、排気ガスが車内に入り込んで、一酸化炭素中毒になるケースです。通常、エンジンをかけたまま車中で睡眠して問題となることはありませんが、雪が積もったり、物が詰まったりなどして、マフラーの排気ガスの排出部分が塞がれると、排気ガスが車中に流れ込み、一酸化炭素中毒となる可能性があります。車中で休むときは、エンジンを止め、毛布や湯たんぽで体を温めて眠ることをおすすめします。

 

一酸化炭素中毒の予防はやはりこまめな換気

一酸化炭素中毒が怖いのは、空間に一酸化炭素が充満しても無色無臭で気づかない点にあります。そのため、無自覚のまま中毒症状が進行してしまうのです。こういった事態を防ぐために最も有効な方法は、何といってもこまめな換気になります。家屋に換気設備を設けたり、年代の古い給湯器やガス湯沸かし器などの使用を避けたり、また一酸化炭素の濃度が上昇すると警報が鳴る一酸化炭素検知器を導入するのもおすすめですが、まずは定期的に窓を開けるなどの換気を習慣づけることが大切です。

 

一酸化炭素中毒になったらどうすればよい?

もし、軽い頭痛などが起きるなどして「一酸化炭素中毒かな」と思ったらどうしたらよいのでしょうか?
まず、すぐに換気をします。初期状態であれば、新しい空気が入ることで症状が軽減されることがほとんどです。また、そのときに一酸化炭素中毒の強い症状がなくても、後々に後遺症が出ることもあるので油断せず、症状が軽くても換気をしても改善が認められない場合は一度医師の診察を受けた方がよいでしょう。もし重篤な場合は体内の一酸化炭素を排出し、酸欠状態になっている組織に新しい酸素を送り込む必要があります。そのため病院では、高い気圧の空間に一酸化炭素中毒の患者さんを入れ、純酸素を吸引させる高圧酸素療法による治療などを行います。

 

気づかないうちに重篤な症状に陥ることもある一酸化炭素中毒。一酸化炭素中毒は、対策を知っているだけで未然に防ぐことができます。冬は暖房を使う機会が多い分、寒くてもこまめに窓を開ける、一酸化炭素検知器をつけるなどして普段から一酸化炭素を発生させない対策を心がけたいですね。家族など周囲へも注意を呼びかけましょう。