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健康コラム

ウイルス性胃腸炎を正しく理解して感染を防ごう!

突然ですが、クイズです。

ウイルス性胃腸炎の原因の一つである「ノロウイルス」。感染する力が高く、口の中に100個入るだけで感染してしまうといわれています。さて、ノロウイルスに感染した患者の嘔吐物100gに含まれるウイルスの量は、おおよそどのくらいでしょうか?

Ⓐ1000個  Ⓑ1万個  Ⓒ100万個  Ⓓ1億個

[正解]Ⓓ1億個

[解説]ノロウイルス感染者の嘔吐物には、大量のウイルスが含まれており、嘔吐直後でなくても、飛び散った床の上で乾燥してもウイルスの威力は残っています。細かな塵と一緒に空気中に舞い、それを吸い込むだけで容易に感染するため、嘔吐物の処理は、速やかに適切な手順で行う必要があります。ちなみに、ノロウイルス感染者の便100gには、なんと100億個のウイルスが含まれています。ノロウイルス感染が大流行する理由がお分かりいただけたのではないでしょうか。

 

流行前に正しい知識を身につけておこう

ウイルス性胃腸炎は、通常秋から冬にかけて流行する病気です。急に腹痛や嘔吐・下痢が始まったとき、「単なる胃腸炎か食あたりだろう」と考える人は多いかもしれません。しかし、その症状はウイルス性胃腸炎である可能性もあります。

家族の中で患者が出てまちがった処置をすると、家族全員に感染してしまうおそれもあります。抵抗力の弱いお年寄りや乳幼児のいる家庭では特に、衛生管理には気をつけることが必要です。

 

ウイルス性胃腸炎とは?

ウイルス性胃腸炎とは、ウイルスが体内に入って発症する胃腸炎のことをいいます。ウイルス性胃腸炎を引き起こす病原体は、感染力が非常に強いことが特徴です。ロタウイルスはわずか10個ほどのウイルスが体内に入れば感染すると言われています。人から人にうつるものなので、身近なところで感染者が出た場合は二次感染しないよう注意が必要です。

 

原因となるウイルスってどんなもの?

代表的なものはロタウイルス、ノロウイルス、アデノウイルスなどです。主に冬場にみられ、「お腹の風邪」と言われるのがこのウイルスによるものになります。

ロタウイルスによる胃腸炎は主に乳幼児が多くかかる傾向がありますが、ノロウイルスによる胃腸炎は乳幼児から大人まですべての年齢層でみられるのが特徴です。

 

ウイルス性胃腸炎の感染経路は?

ウイルス性胃腸炎の感染経路のほとんどが、ウイルスに汚染された食べ物を食べたり、感染した調理者の手などを介した経口感染によるものです。また、ウイルスが含まれた糞便や嘔吐物の処理をしたときに消毒が不十分だったことが原因でうつる接触感染もあります。

さらに、乾燥した汚物が大気中に舞い上がり、それを吸い込むことで感染することもあるので、汚物を乾燥させないようにすることが二次感染を防ぐ上で非常に重要です。

 

ウイルス性胃腸炎の症状は?

ウイルス性胃腸炎の主な症状は、発熱・下痢・嘔吐・腹痛となっています。ノロウイルスによるものでは、幼児は嘔吐、大人は下痢の症状が出るものが多いです。ロタウイルスの場合は発熱・嘔吐のほか、白色の下痢便が出ることもあります。乳幼児やお年寄りなどの場合には症状がひどくなってしまう事があるので注意が必要です。

潜伏期間は、ノロウイルスは24~48時間で、ロタウイルスが24時間~72時間となっています。また、症状が出る期間は、ノロウイルスの場合24時間~48時間、ロタウイルスの場合は5~6日です。

 

ウイルス性胃腸炎の治療方法は?

ウイルス性胃腸炎には特別な治療方法はありません。症状がひどいときに症状を和らげるための対処療法が行われるだけです。下痢止めを使うとかえって回復が遅くなる場合があるので注意しましょう。

嘔吐・下痢により大量に水分が失われるので、嘔吐の症状がおさまってきたら少しずつ水分補給をすることが必要です。経口補水液など吸収効率の高いものでの水分摂取がお勧めです。回復してきて食事ができるようになったら、しばらくは消化の良い食べ物を摂るようにしましょう。
乳幼児や高齢者は、早めに医療機関を受診することが大切です。

 

ウイルス性胃腸炎の予防ポイントは?

最も重要なのは、帰宅後や食事前の手洗いです。また、感染者の便や嘔吐物を処理するときには使い捨て手袋やマスク、エプロンを身につけて行い、処理後にも手洗いを徹底しましょう。

また、感染者の嘔吐物や便がついた衣類やシーツなどを洗うときは、アルコールではなく次亜塩素酸ナトリウム(ハイターなどの塩素系漂白剤)を使用して消毒するようにしてください。

 

感染力が強く、症状もひどくなりやすいウイルス性胃腸炎。しかし、どんなに流行していても、手洗いなどの予防を徹底すればかかるリスクは減らせます。 はやる前に知識を身につけて、身近で感染者が出たときには正しい方法で対処できるようにしましょう。