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健康コラム

睡眠不足は生活習慣病に影響する?!秋の夜長を規則正しく過ごすための睡眠知識とは

動物睡眠クイズにチャレンジしよう!

Q:哺乳類の中で一番長く眠るコアラは、一日22時間を寝て過ごすと言われています。その反対で睡眠時間がもっとも短い動物はキリンだとされていますが、一日のうちどの位の時間寝ているでしょうか?

A:正解は、なんとたったの1.9時間です。
どうして、キリンはこんなに睡眠時間が短いのでしょうか?キリンは草などをエサとする草食動物です。草は低カロリーのため、あの大きな体を維持するには量をたくさん食べなくてはなりません。キリンは一日の長時間を食事や消化に費やしているため、睡眠に割く時間がないのです。また、ライオンなどの肉食動物から襲われないよう、常に警戒していなければならないことも睡眠時間が短い理由のひとつです。
一方、一日のうちの22時間を眠るコアラですが、実はエサであるユーカリには毒が含まれています。解毒には大量のエネルギーが必要ですが、ユーカリ自体に栄養が少ないため、なるべく動かずに眠っていることでエネルギーを使わないようにしていると言われています。
動物は、自分の体を守るために睡眠時間を調節しているんですね。人間はどうなのでしょうか?

 

睡眠の役割って?

近年、睡眠不足が人間の体に悪影響を及ぼすことがわかってきました。成人の平均睡眠時間は約7~8時間だと言われていますが、実際には夜遅く寝ることも多く十分な睡眠がとれないケースも増えています。睡眠は人間の体にどのような役割を果たしているのでしょうか?

・脳と体の休息
活動して消耗した脳と体を、睡眠によって休めることで疲れを解消します。睡眠が不足するとイライラ、だるさ、集中力の欠如などの症状が出ることがあります。
・ホルモンの分泌
子どもの身長を伸ばす働きを持つ成長ホルモンは睡眠中に分泌されます。この成長ホルモンは成人においても大切な役割を果たしています。脂肪の分解や血中コレステロールを低下させる作用があるほか、病気への抵抗力、細胞の再生・修復にも関わっているため、睡眠不足は肥満や疲労、肌荒れなどの原因にもなります。 
・免疫の増強
睡眠中は、副交感神経の働きが活発になりリラックス状態になります。そのような状態では、病原菌をブロックする免疫細胞が活性化するため、免疫力が増強します。逆に睡眠不足だと免疫力が低下して風邪を引きやすくなります。
・記憶の再編成
人間が得た情報は大脳皮質の側頭葉から海馬に送られ、短期記憶として一時保存されます。同じ情報が何度も海馬に送られると重要であると判断され、側頭葉に送り返して長期記憶として保存されます。この一連のやりとりは睡眠中に行われます。
人間の脳や体は、睡眠によって元気に活動できているんですね。

 

睡眠不足と生活習慣病の関係

睡眠不足は、単なる疲れやだるさだけでなく、高血圧や肥満などの生活習慣病を引き起こす危険性があります。睡眠不足と様々な生活習慣病の関係についてみていきましょう。

・肥満:睡眠不足が続くと食欲増進ホルモンであるグレリンの分泌が増加し、食欲抑制ホルモン、レプチンの分泌が減少するため、食べ過ぎや肥満を招くと言われています。
・糖尿病:睡眠不足によってインスリンの働きが低下します。インスリンは血糖をコントロールする作用を持っているため、働きが悪くなると糖尿病のリスクが高まります。
・高血圧:睡眠不足だと交感神経が優位となりますが、この状態が続くと血圧が下がらず高血圧を引き起こす可能性があります。

 

睡眠不足は5兆円の経済損失?!

以上のように、睡眠不足は人間の体に様々な悪影響を与えることがわかっていますが、実は国全体の経済損失を生み出すという報告もあります。

ある企業で、睡眠不足を原因とした「欠席」「遅刻」「早退」「作業効率の低下」「産業事故」「交通事故」等についてアンケート調査を行い、それをもとに推計したところ、年間の経済損失は約3兆5千億円にのぼるとの結果が出ました。さらに、医療費を加算すると5兆円もの経済損失が発生すると予測されています。
睡眠不足の問題は、個人の健康だけでなく、日本の経済損失にも影響を与えかねないのです。

 

睡眠不足は、健康を脅かし、人間が本来持つ力を低下させてしまいます。夜が長くなってくる秋も、夜更かしは程ほどにして身も心も豊かな生活を送っていきましょう。